北野恒富の作品は全てが艶っぽい!大阪にもこんな素敵な画家が活躍していた。2017年6月6日〜7月17日 あべのハルカス美術館で開催“北野恒富 展”へ
あべのハルカス美術館にて「没後70年 北野恒富展」が2017年6月6日〜7月17日まで開催されています。期間中、6/21(夏至)、6/30(愛染祭り)、7/7(七夕)には和装割引、七夕には短冊を書くと先着100名に絵葉書プレゼントもあるそうです。
平日の夕方17時過ぎに行きました。館内はパラパラと人がいるくらいの空き加減でゆっくり見ることができました。館内は狭過ぎず広過ぎず、丁度いい広さだと思いました。ゆっくりじっくり見て退館したのが20時前、約2時間30分の滞在でしっかりと見ることができました。
Contents
浪花情緒
北野恒富は大阪の空気を濃密に表現する画家であるということを聞き、自分が知らない明治〜昭和前期の大阪を彼の絵から覗いて見たいと思ったのが展覧会へ行くきっかけでした。というのも、私は大阪で創流された”山村流”という流派の上方舞をしています。丁度、彼が活躍した時代は山村流の舞も商家の子女見習いや、花街の芸妓さんの舞として盛んだったので、その当時の情緒を彼の作品から見て知って、肥しにできればと思ったのです。
彼の作品には、歌舞伎や文楽などの上方芸能、南地の花街、船場の商家などを題材にした作品があり、彼のフィルターを通し、当時の光景を垣間見ることができました。道頓堀川に面した芝居茶屋と土手の柳が描かれた風景画は当時の南地の風情が現れていました。
「いとさん こいさん」という作品は、商家の姉妹が描かれていて、谷崎潤一郎の「細雪」の世界が頭の中で浮かびました。まさに当時の大阪の情景だったんでしょうね。 NHKの朝の連ドラにも出てきそうです。
一つ印象に残った作品が「道行」。館内へ入ってすぐ目の前にあり、見た瞬間、彼が"画壇の悪魔派"と呼ばれた訳はコレか⁉︎と衝撃を受けました。妖艶で退廃美漂う世界に釘づけになり、しばらく動けず眺めていました。
「道行」は文楽で上演されている近松門左衛門の”心中天の網島”で治兵衛と小春がまさに今心中しにいくところが象徴的に描かれていました。ままにならず死を選んだ二人を責め立てているような。切なさより、死のリアルがそこにありました。心中ってもっと美化されたものだったよな…と、少し違う面を見たような。でも何故か「美しい」と思ってしまうところが作品の魅力でした!
着物美人画
当時大阪で女性が着ていた着物ってどんなデザインでどんなコーディネートをしていたのだろうと、着物好きな私には見ているだけでたまらなくなるようなものばかりでした。華やかな古典柄、四季折々の柄の着物、豪華な振袖や帯など、まさに「はんなり」の世界です。
”赤”を印象的に使い花街の女性を描く作品がとても素敵でした。着物や結髪に描かれる赤色を見ているだけで花街の世界が頭の中で湧いてきます。あと、作品の中の女性の仕草がたまらなく艶っぽいのです!座ってるだけ、立っているだけなのに。。。見習いたいです…
一つ大好きになった作品が「願いの糸」(一つ目の画像の右)。七夕の夜に水を張った桶に梶の葉を浮かべた上で月明かりを頼りに針に糸を通し、技芸上達や恋愛成就を願う風習があったそうで。そんな女性の姿がとても愛らしく描かれています。
今も続く大阪の歳時記
彼は大阪の歳時記も描いていて、南地の芸妓が籠に乗っている「宝恵籠」という作品がありました。宝恵駕籠(ほえかご)は、十日戎に芸妓を籠に乗せ今宮へ参詣する浪速花街の名物行事。今でも大阪ミナミの年中行事として行われています。実は私も参加したことがあり親近感を抱いた作品でした!

miwako iai

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