浮世絵にも江戸好み・上方好みがあった!着物との共通点を発見!

先日、八尾にある「八尾市指定文化財 安中新田会所跡 旧植田家住宅」で行われた『浮世絵〜上方役者絵の話〜(講師:あべのハルカス美術館 主任研究員 北川博子氏)』へ参加してきました。

旧植田邸 浮世絵

木版の浮世絵は量産できる

まずは、浮世絵とは・描き方・歴史・当時の役割などをお話くださいました。木版画の浮世絵は量産ができるので、いろんな題材の絵が描かれ販売されたそうです。美人画・役者絵・芝居絵・花鳥絵・戯画・春画・風物絵・相撲絵・玩具絵…などなど。裕福な家や商家が年末に暦を作りご贔屓さんに配ったり、うちわを作ったりなどもあったそうです。この暦を作って配るって今も年末に行われてる習慣ですよね!

 

江戸と上方の違い

続いて本題の、上方役者絵のお話へ…。同じ時に同じ役者を同じ構図で描いた2枚の役者絵が並びました。1枚は「江戸で描かれたもの」、もう1枚は「上方で描かれたもの」、同じ題材なのに明らかに雰囲気が違うんです!

江戸の方は、頭の大きさが小さめで顎がとんがり気味、身体の線は直線的なスマートさを感じ、全体的に“シュッ”としています。着物も色数が少なく落ち着いていています。

上方の方は、頭が5頭身?くらいの大きめで顎も丸め、身体の線は曲線的で、全体的に柔らかいイメージです。着物は色数が多く柄付きも派手めで華やか(はんなり)です。

 

売れ筋=地域の好み

役者絵は今でいうアイドルのブロマイドのようなもの。より売れるようにするためには一般的に求められている絵にする必要があったそうです。ということは、江戸では「シュッ」としたもの、上方では「はんなり」した画風が好まれたということなんですね!実際にどちらの絵が好き?と聞かれたら上方の浮世絵の方を選んだので、関西人ですね(笑)

 

関東と関西とでは着物の好みが違うのと同じ

浮世絵の江戸と上方の好みの違いを見て一瞬にして感じたのは、「着物の好みの違いと同じ!」ということでした。関東では落ち着いた色目でスッキリとしたスタイリッシュな着物の着こなしが好まれるようで、関西では柄着物に柄帯を合わせるような華やか(はんなり)とした着こなしが好まれます。江戸時代で既に地域の好みが確立されていて、それはいまだに変わっていないということが面白く思いました!

 

おまけ

和装のヘアセットをしてもらうのですが、このスタイルも関東と関西とでは違いがあるように感じています。関西では丸いフォルムでぽってりと大きめのスタイルに仕上がります。これも浮世絵の上方の画風と似ているなと思いました。。。

 

旧植田邸では植田家に残る浮世絵の展示を12/23まで開催しています。お近くへ来られた際にはぜひお立ち寄りくださいませ〜。

旧植田邸

旧植田邸

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miwako iai

大阪出身八尾市在住。デザイン事務所や広告代理店を経て、今は家業を手伝いながら好きな“きもの”もお仕事にしています。洋服も好きだから、きもの&洋服ライフを楽しむ日々。日本舞踊を15年お稽古したり、伝統芸能にも興味あり。日本の美しさを大切にしていきたいです。